私には１０年以上会ったことのない メル友 がいる。
メル友という言葉からも、その関係の古さがうかがえる。
S君との出会いは、中学２年になる年の春休みだった。
携帯を初めて買ってもらったのが小学校を卒業した春休みで、中学生になるから、という理由でいとこからプリペイド式の携帯電話を譲ってもらった。
そもそもソフトバンクの前のボーダフォンの前のJ-PHONEの時の話だ。
当時はまだ同級生の中でも携帯電話を持っている人は少数で、連絡する友達もわずかだった。
その数少ない連絡を交換する中の一人にYちゃんという一つ年上の女の子がいた。
Yちゃんとは生後数か月からのベビースイミングの時からの知り合いだ。
私が小学３年生くらいに引っ越しをしたが、親同士が仲が良く数か月に１度は会う仲だった。
Yちゃんの連絡先を教えてもらって、たまに連絡を交換していたある日、Yちゃんからメールが来た。
Y： メル友作るサイトって知ってる？
私： 知らない。ていうかそれって出会い系じゃないの？
Y： 出会い系とは違うよ！ただのメル友だよ！！
私： そうなんだ～。もしわかったら教えてね。
バカな私は出会い系とメル友募集の掲示板は違うと信じた。
そしてその数時間後、Yちゃんから掲示板のURLが送られてきた。
早速アクセスしてみると、さまざまなジャンルに別れた掲示板が９つ見つかった。
メル友募集/男友達(20代)募集/女友達(20代)募集。。。
メル友掲示板を覗いてみると、男女年齢を問わない書き込みが多数あった。
年齢は普通に表示されていた。（けれど数か月後には１５歳以下は「？歳」で表示されるようになった。）
ハンドルネーム、住んでる県、年齢、そして使っている携帯の種類が表示されていた。
高校生です！同年代の女の人とメールしたいです！
似たようなコメントがずらずら。
その中から適当な人とメールをし始めた。
けれどなかなか長くは続かず、それからまた新しい人を探す、というような日々だった。
そんなある日、「エンジニアなんかになりたくない。悩みを聞いてくれる年上の人」
と言う書き込みを見つけた。
彼は３つ年上だったが、近い県に住んでいたので年下だけど良いかとメールをしてみた。
返事はすぐに来た。
エンジニアって何？と質問すると、彼は丁寧に教えてくれた。
そして話してみると、部活が同じで話が弾んだ。
--続く
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